人材不足が叫ばれている中、せっかく入社してくれた若手社員がやめてしまうのは企業にとってかなりの痛手です。
今回は厚生労働省が令和3年8月に発行した「令和2年雇用動向調査結果の概況」をもとに若手の離職理由TOP3を男女別に紹介します。
若手社員の離職理由を分析し、若手社員が長く働きたいと思える職場づくりの仕方や離職防止策を解説します。
INDEX
若手社員の離職状況
厚生労働省によると、「新規大学卒就職者における就職後3年以内の離職率」は32.3%となっており、新卒社員の約3割が3年以内に離職をするという結果が出ています。
また、離職率は事業所規模が小さいほど高くなっており事業所規模30人未満の就職後3年以内の離職率は約5割近いというデータが出ています。
事業所規模 | 新規大学卒就職者における就職後3年以内の離職率 |
5人未満 | 54.1% |
5~29人 | 49.6% |
30~99人 | 40.6% |
100~499人 | 32.9% |
500~999人 | 30.7% |
1000人以上 | 26.1% |
参考)厚生労働省「新規大卒就職者の事業所規模別離職状況 令和2年3月卒対象」https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001158647.pdf
中小企業にとって多くのリソースを割いて採用した人材がすぐに辞めてしまうのは死活問題です。
若手社員が長く働きたい職場づくりを実現するために、若手社員が離職する理由をランキング形式で紹介します。
若手社員の男女別離職理由ランキング
男性(20~24歳)
1位.給料等収入が少ない(13.2%)
2位.労働時間、休日等の労働条件が合わなかった(11.8%)
3位.仕事内容に興味が持てなかった(8.5%)
女性(20~24歳)
1位.労働時間、休日等の労働条件が合わなかった(21.0%)
2位.給料等収入が少ない(11.5%)
3位.職場の人間関係が好ましくなかった(11.2%)
参考)厚生労働省 令和3年8月発行「令和2年雇用動向調査結果の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/gaikyou.pdf
男女ともに給料面や労働時間等の労働条件が理由で多くの社員が離職していることが分かります。
また、「職場の人間関係が好ましくなかった」(同順位男性4位、女性3位)という理由に関しては25~29歳においてはより重要視される傾向にあり、男性(25~29歳)同順位1位(15.2%)となっています。
以上の結果をもとに若手社員が長く働きたいと思える職場づくりに必要なことを解説します。
若手社員が離職しないためには
労働条件を整備する
若手社員は特にライフワークバランスを重視する傾向があります。第一にプライベートがあって、仕事があるという考え方が強いのでプライベートを充実させられる労働環境にする必要があります。
例
・無駄な残業やサービス残業を無くす
・有給休暇を取得しやすくする
・テレワークやフレックス制度など柔軟に働ける環境を作る
・産休、育休等ライフステージに合わせた休暇の取得率を上げる
給料等に納得感をもってもらう
給料をあげることが一番の解決策ですが、多くの中小企業にとっていきなり賃金を上げることはなかなか難しい話です。そこで必要になることは自身の給料に納得感をもってもらうことです。
例
・社長が感覚的に判断するのではなく給与テーブルや評価制度を整備して昇給するために必要なことを明確にする
・年度が変わる時期や賞与前にフィードバックの機会を設けて、自己評価と他者評価にズレが無いか確認する
・即戦力化(一人一人の生産性の向上)を目的とし、研修制度を整備する
・インターンシップによる採用を行い、入社時点で即戦力となってもらう(生産性向上により給料の上げる)
職場の雰囲気や人間関係を良好にする
こちらは一朝一夕でできることではありませんが、やはり職場の雰囲気や人間関係は重視されています。できることから少しずつでも始める意識が必要です。
例
・経営陣が悪い雰囲気を作っていないか見直す(些細な嫌味やパワハラ、セクハラ等)
・社員の人間関係を把握するように努める
・匿名の社内アンケート等を実施し、人間関係等で悩んでいる人がいないかを確認する
・雰囲気がネガティブになっていないか、ネガティブになっているのであれば原因を特定し解決する
・採用段階で職場の雰囲気や社員を見てもらう機会を設けてミスマッチを防ぐ
まとめ
今回は若手社員の離職理由ランキングをもとに、若手社員が離職しない職場について解説しました。
年々労働人口が減っていき、特に中小企業は採用と社員の定着が重要になっていきます。
いかに多くの求職者に認知をされるかは重要ですが、「自社とマッチした社員の採用」と「入社した社員が長く働きたいと思える職場づくり」が非常に重要となります。
この「採用難の時代」を勝ち抜くために、多くの求職者に魅力的だと思ってもらえる職場づくりをしていきましょう。