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1. 新卒採用コスト削減が求められる背景
新卒採用を取り巻く環境は、年々厳しさを増しています。採用競争の激化、人材の流動化、そして採用単価の上昇——多くの企業が採用コスト削減という課題に直面しています。
採用単価上昇の実態データ
リクルートの調査によると、2019年度の新卒採用における1人あたりの平均採用単価は93.6万円に達しました。前年度の71.5万円から大幅に上昇しており、採用コストは増加の一途をたどっています(就職白書2020)。
さらに、企業規模によって採用コストには大きな差があります。
- 上場企業: 平均採用単価 約140万円〜180万円
- 非上場企業: 平均採用単価 約60万円〜90万円
この数字には、求人広告費、採用イベント費用、選考費用、内定者フォロー費用などが含まれますが、実は目に見えない「隠れコスト」がさらに大きな負担となっているのです。
なぜ今コスト削減が重要なのか
新卒採用コスト削減が求められる背景には、3つの構造的要因があります。
①採用競争の激化
少子化により新卒人材の母数が減少する一方、企業の採用意欲は高まり続けています。結果として、優秀な人材を確保するための競争が激化し、採用単価が上昇しています。
②早期離職による損失の深刻化
厚生労働省の調査によると、新規大卒就職者の**3年以内離職率は34.9%**に達しています(新規学卒就職者の離職状況)。つまり、高額な採用コストをかけても、約3人に1人が3年以内に退職しているのが現実です。
さらに深刻なのは、早期離職による損失額の大きさです。ある試算によると、新卒社員が1年で離職した場合のコストは約530万円〜580万円にも上るとされています(離職コストの実態)。
③経営環境の不確実性
経済環境の変動により、採用予算の適正化が経営課題として重要性を増しています。限られた予算の中で、いかに質の高い採用を実現するかが問われています。
このような背景から、単なるコスト削減ではなく、費用対効果を最大化する戦略的な採用が求められているのです。
2. 【即効性あり】新卒採用コストを削減する5つの方法
ここでは、実践的で即効性のある新卒採用コスト削減方法を5つご紹介します。
方法①:ダイレクトリクルーティングの活用
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら学生データベースから候補者を検索し、直接スカウトする採用手法です。
〈コスト削減効果〉
従来の求人媒体や人材紹介サービスと比較して、採用単価を大幅に削減できます。
- 従来の人材紹介: 採用1名あたり 100万円〜150万円
- ダイレクトリクルーティング: 採用1名あたり 30万円〜70万円
つまり、採用単価を50〜70%削減できる可能性があります(ダイレクトリクルーティングの費用相場)。
〈成功のポイント〉
- ターゲット学生のペルソナを明確にする
- 魅力的なスカウトメッセージを作成する
- 継続的な運用体制を構築する
- 返信率・面談率を定期的に分析し改善する
ダイレクトリクルーティングは定額制のサービスが多いため、採用人数が増えるほど1人あたりの採用単価が下がるという特徴があります。複数名の採用を予定している企業にとっては、非常に費用対効果の高い手法です。
方法②:リファラル採用の強化
**リファラル採用(社員紹介制度)**は、最も採用コストを抑えられる手法の一つです。
〈コスト削減効果〉
リファラル採用の採用単価は、他の手法と比較して圧倒的に低コストです。
- リファラル採用: 約12万円(インセンティブ10万円+会食費2万円)
- 求人広告媒体: 約40万円〜
- 人材紹介サービス: 約140万円
つまり、採用コストを約70〜90%削減できる可能性があります(リファラル採用のコスト比較)。
〈コスト以外のメリット〉
- 定着率が高い: 会社の実情を理解した上で入社するため、ミスマッチが少ない
- 採用スピードが速い: 選考プロセスを効率化できる
- 企業文化へのフィット: 社員が紹介するため、カルチャーマッチしやすい
〈成功のポイント〉
- 社員が紹介しやすい仕組みを作る(専用ツール、フローの整備)
- 適切なインセンティブ設計(金銭報酬だけでなく表彰制度なども)
- 経営層からのメッセージで重要性を発信
- 紹介者へのフィードバック体制を整える
実際の成功事例として、ある企業では初年度に約1億円の採用コストカットを実現しています(リファラル採用成功事例)。
方法③:採用媒体の見直しと最適化
多くの企業が、慣習的に同じ採用媒体を使い続けているケースがあります。しかし、媒体ごとの費用対効果は大きく異なります。
〈最適化のステップ〉
ステップ1:現状分析
- 媒体ごとの応募数・内定数・採用数を集計
- 採用単価(媒体費用÷採用人数)を算出
- 歩留まり率(応募→選考→内定→入社)を分析
ステップ2:費用対効果の評価
- 採用単価が低い媒体を特定
- 質の高い応募者が集まる媒体を特定
- 投資効率の悪い媒体を特定
ステップ3:予算の再配分
- 費用対効果の高い媒体へ予算をシフト
- 効果の低い媒体は縮小または撤退
- 新しい媒体のテスト導入
〈媒体選定の基準〉
- ターゲット層とのマッチ度: 自社が求める学生が登録しているか
- 費用対効果: 採用単価が適正か
- 運用工数: 社内リソースで運用可能か
- 採用実績: 過去の採用成功率はどうか
新卒採用の求人広告費平均は年間161.7万円ですが、企業規模や選択する媒体によって大きく変動します(求人広告費用比較)。適切な媒体選定により、同じ予算でより多くの採用を実現できます。
方法④:選考プロセスの効率化
選考プロセスが長期化すると、面接官の工数コストや内定辞退リスクが増大します。
〈効率化のポイント〉
①選考ステップの最適化
- 不要な選考ステップを削減(例:4回→3回へ)
- オンライン面接の活用で移動コストを削減
- 一次選考を録画面接やAI面接で代替
②歩留まり改善
- 各選考ステップでの辞退理由を分析
- ボトルネックとなっているステップを特定
- 学生とのコミュニケーション頻度を最適化
③面接官トレーニング
- 見極め精度の向上により、不採用判断を早期化
- 魅力付けスキル向上により、内定承諾率を向上
〈コスト削減効果〉
例えば、面接回数を4回から3回に削減した場合:
- 面接官の工数削減: 1人あたり約2〜3時間
- 面接官の時給を5,000円と仮定: 10,000円〜15,000円/人の削減
- 100名採用なら: 100万円〜150万円のコスト削減
方法⑤:早期接触による歩留まり向上
早期から学生と接点を持つことで、志望度を高め、選考歩留まりを改善できます。
〈早期接触の手法〉
- 1〜2年生向けインターンシップ: 早期から自社理解を深める
- 業界研究イベント: 認知度向上と母集団形成
- OB・OG訪問の仕組み化: 学生との接点創出
- SNS・オウンドメディア: 継続的な情報発信
〈コスト削減効果〉
例えば、内定承諾率が60%から80%に改善した場合:
- 従来:10名採用のために約17名に内定出し
- 改善後:10名採用のために13名に内定出し
- 約4名分の選考コストを削減
歩留まり改善は、直接的なコスト削減だけでなく、採用活動全体の効率化にもつながります。
3. コスト削減で絶対にやってはいけない3つの落とし穴
新卒採用コスト削減を進める際、多くの企業が陥りがちな「落とし穴」があります。短期的にはコストが下がっても、中長期的には大きな損失を生む可能性がある3つの失敗パターンを解説します。
落とし穴①:質を犠牲にした採用人数の確保
「とにかく採用コストを下げたい」という発想から、採用基準を下げてしまうのは最も危険な落とし穴です。
なぜ危険なのか
- 入社後のパフォーマンスが低く、育成コストが増大
- 早期離職の可能性が高まり、結果的にコスト増
- 組織全体の生産性低下につながる
実際のコスト試算
質を下げて採用した人材が1年で離職した場合:
- 採用コスト: 約90万円
- 給与・社会保険料: 約300万円
- 育成コスト: 約100万円
- 採用担当・育成担当の工数: 約50万円
- 合計損失: 約540万円
つまり、目先のコスト削減が、結果的に数百万円規模の損失を生む可能性があるのです。
正しいアプローチ
- 採用基準は維持しつつ、採用手法を見直す
- 質の高い母集団形成に投資する
- 長期的な視点でROIを評価する
落とし穴②:育成コストの軽視
「採用コストは削減するが、育成には予算をかけない」という姿勢も危険です。
育成投資の重要性
新卒採用において、採用後の育成こそが最も重要な投資です。適切な育成がなければ:
- 早期離職率が上昇
- 戦力化までの期間が長期化
- モチベーション低下による生産性悪化
厚生労働省の調査では、新規大卒就職者の3年以内離職率は34.9%。この早期離職の主な原因の一つが、不十分な育成体制です。
育成投資の費用対効果
適切な育成プログラムに投資することで:
- 離職率を10〜20%改善できる
- 戦力化までの期間を3〜6ヶ月短縮できる
- 結果的に、1人あたり100万円〜300万円のコスト削減効果
つまり、育成への投資は、採用コスト削減以上のリターンをもたらす可能性があるのです。
落とし穴③:短期的視点での削減施策
「今年度の採用予算を削減する」という単年度の視点だけでコスト削減を進めるのも危険です。
短期視点の問題点
- ブランディング施策(広報・イベント)を削減 → 翌年度以降の認知度・応募数が減少
- 内定者フォローを削減 → 内定辞退率が上昇
- 採用担当者の育成を削減 → 採用スキルが低下し、効率悪化
中長期視点の重要性
新卒採用は、単年度で完結するものではなく、継続的な投資です。
- 1〜2年生からの早期接触
- 企業ブランドの構築
- 採用ノウハウの蓄積
- リファラル採用の文化醸成
これらは短期的にはコストに見えても、中長期的には大きなリターンをもたらします。
正しいアプローチ
- 3年〜5年のスパンで採用戦略を設計
- 単年度のコストだけでなく、LTV(Life Time Value)で評価
- ブランディング投資は削減せず、効率化で対応
4. 本質的なコスト削減:「採用後の離職」を防ぐ投資思考
新卒採用コストの本質的な削減を実現するには、「採用」と「定着」を一体で考えることが不可欠です。
隠れコスト=早期離職による損失
多くの企業が見落としているのが、**早期離職による「隠れコスト」**の大きさです。
早期離職のコスト内訳(1年で離職した場合)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 採用コスト | 約90万円 |
| 給与・社会保険料(1年分) | 約300万円 |
| 育成コスト(研修・OJT) | 約100万円 |
| 採用担当・育成担当の工数 | 約50万円 |
| 合計損失 | 約540万円 |
つまり、採用単価93.6万円の約6倍の損失が発生するのです(早期離職コストの実態)。
さらに、3年以内に離職した場合、その損失額は約600万円〜800万円にも達するという試算もあります。
採用と育成を一体化する重要性
早期離職を防ぐには、採用段階から「定着」を見据えた設計が必要です。
一体化のポイント
①ミスマッチを防ぐ選考設計
- リアルな仕事内容・職場環境を伝える
- カジュアル面談で相互理解を深める
- 価値観・キャリア観の適合性を重視
②入社前フォローの強化
- 内定者インターンシップの実施
- 定期的なコミュニケーション
- 不安・疑問の解消
③入社後の育成体制
- 体系的な研修プログラム
- メンター制度の導入
- 定期的な1on1面談
④発達段階に応じた育成 成人発達理論に基づき、一人ひとりの発達段階に合わせたフィードバックを行うことで、成長を支援し、離職を防ぎます。
リラクションでは、**成人発達理論に基づく独自の育成理論(4段階モデル)**を活用し、早期離職を防ぎながら学生の成長を支援しています。
投資思考への転換
「採用コストを削減する」という発想から、**「採用と育成への投資効果を最大化する」**という発想への転換が重要です。
投資効果の測定指標
- 採用単価: 1人あたりの採用コスト
- 定着率: 3年後の在籍率
- 戦力化スピード: 独り立ちまでの期間
- ROI: (生涯貢献 – 投資総額) ÷ 投資総額
この視点で見ると、採用単価が高くても定着率が高い方が、トータルでは低コストになるケースが多いのです。
5. 長期インターンという”投資型採用”のコスト構造
ここまで新卒採用コスト削減の方法を解説してきましたが、最も本質的なコスト削減を実現できるのが長期インターンシップという採用手法です。
初期投資と長期的なコストパフォーマンス
長期インターンは、従来の新卒採用とは全く異なるコスト構造を持ちます。
従来の新卒採用のコスト構造
採用コスト(93.6万円)
↓
入社
↓
育成コスト(3ヶ月〜1年)
↓
戦力化
↓
売上貢献開始
長期インターンのコスト構造
初期投資(体制構築・採用広告費)
↓
在学中から戦力化(3〜4ヶ月)
↓
売上貢献しながら育成
↓
入社時点で即戦力
最大の違いは、**「育成コストを回収しながら採用できる」**という点です。
育成済み人材確保による採用コスト圧縮
長期インターンの場合、採用コストという概念が根本的に変わります。
実際のコスト比較
従来の新卒採用の場合:
- 採用コスト: 93.6万円
- 育成コスト(1年分): 約100万円
- 給与(1年分): 約300万円
- 入社1年目の投資総額: 約493.6万円
- 売上貢献: 限定的(育成期間)
長期インターンの場合(リラクションの実例):
- 初期投資: コンサルフィー + 採用広告費
- 育成コスト: 体制構築済みのため低減
- インターン給与(時給制): 実働に応じた支払い
- 在学中の売上貢献: 月数万円(30名組織)
- 入社時点: 即戦力、育成完了
つまり、長期インターンの場合、採用コストを大幅に上回る売上貢献を入社前に実現できるのです。
結果として、従来の新卒採用と比較して、採用コストを実質100%以上削減(むしろプラス収支)という驚異的な成果を実現しています。
長期インターンのその他のメリット
コスト面以外にも、長期インターンには大きなメリットがあります。
- ミスマッチの防止: 入社前に相互理解が深まる
- 定着率の向上: 早期離職がほぼゼロ
- 組織の活性化: 若手の視点が組織を刺激
- 将来の幹部候補育成: 早期から育成できる
詳しくは、経営者のための「長期インターン導入完全ガイド」をご覧ください。
6. まとめ:目先の削減ではなく、構造的な最適化を
新卒採用コストの削減は、単なる「支出を減らす」ことではありません。**「投資効果を最大化する」**という視点が重要です。
5つの実践的削減方法(再掲)
- ダイレクトリクルーティング: 採用単価50〜70%削減
- リファラル採用: 採用単価70〜90%削減
- 採用媒体の最適化: 費用対効果の向上
- 選考プロセス効率化: 工数削減と歩留まり改善
- 早期接触: 志望度向上と内定承諾率アップ
避けるべき3つの落とし穴(再掲)
- 質を犠牲にしない: 採用基準は維持
- 育成投資を軽視しない: 定着こそが真のコスト削減
- 短期視点にならない: 中長期で投資効果を評価
本質的なコスト削減の鍵
最も重要なのは、**「採用後の離職を防ぐ」**ことです。
- 早期離職1名の損失: 約540万円〜800万円
- この隠れコストを防ぐことが、最大のコスト削減
- 採用と育成を一体化した戦略が不可欠
次世代の採用戦略:長期インターン
最も本質的なコスト削減を実現できるのが、長期インターンという投資型採用です。
- 育成コストを回収しながら採用
- 入社時点で即戦力
- 早期離職リスクがほぼゼロ
- 実質的な採用コストをマイナスにすることも可能
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